不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

大型新人バンド、鮮烈デビュー

 Beady Eye『Different Gear Still Speeding』を聞く。リアムは怒るだろうけど、どうしたってOASISと比べてしまい、正直「ノエルがいなくて、ほんまに大丈夫かいな」と聞くまでずっと心配だった。
 ノエルが「オアシスがオアシスを超える」ために苦心した一方、リアム(たち)は「オアシスがオアシスであり続ける」ことにこだわり、その絶妙なバランスがオアシスをオアシスたらしめていた。だから、下手したらオアシスの出がらしになるんじゃないかという予想は全く外れ、いやはや、想像以上にずっといいロックンロールが鳴り響いていて、驚いてしまった。すまん、リアム。
 曲名にも入っているようにThe BeatlesThe Rolling stonesは言わずもがな、The Who、そしてThe La'sの影響を隠そうともせず、英国ロックンロールの要素を総動員した曲の数々。思いのほか粒ぞろいのメロディ、躍動感のある演奏、そしてリアムの唯一無二の武器であり、不動感と万能感すら漂う声。オアシスが自らのキャリアが重しになったのに比べて、楽天的で抜け切った音が気持ちよい。特にキーボードが効果的に使われている。
 ノエルが去ってオアシスという枠が壊れて、あくまでも「オアシスの続き」ではなく「新しいバンドのデビュー」に立ち位置を定めた事で、瑞々しい作品ができあがった。ロックンロール、ここにあり。
 むろん、オアシスほどの衝撃は受けないし、深みもまだあまりないけれど、俺はこのアルバムが好きだしこのバンドを聞き続け、転がっていくロックンロールを見続けたいと思う。そして、対するノエルがどういう音を奏でるのかも気になる。……いまだに兄弟喧嘩の最中だとも思っているし。なんにせよ、来日ライブ行くぜ。
《So long,so long
 Someday all the world will sing my song
 Still life remains
 Somewhere in my heart the beat goes on》
(“The Beat Goes On”)

Different Gear, Still Speeding

Different Gear, Still Speeding