不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

謝辞が長いよ

 ジョン・ハート『川は静かに流れ』を読んだ。おもしろいという噂を聞いたので、手に取ってみた。たしかにおもしろいし、ぐいぐいと読み進んでしまったが、読了後はどこかモヤモヤしたものが残った。
 家族との不和がテーマになっており、物語は当然、再生であったり、トラウマからの解放だったりする。展開は地味ではあるけれど、別にそこに不満はなくて、どちらかというと主人公が気に喰わないというか。主人公はタフであれ、強くあれとは思わないが、辛気臭いし、流れに身を任せているようにしか見えないんだよな。これは主人公に限ったわけじゃなくて、登場人物、みんなもう少し心に芯があれば、もっと違った展開になるんじゃないの、この事件、と思ってしまうのだ。あと、主人公は5年間故郷を離れていたわけだが、その5年の空白が全く効果的じゃないように思えた。
 「おもしろい」と書いた割には、文句だらけになってしまった。決して悪い小説ではないかと。ただ、俺には合わなかっただけ、と言った方がいい。うーん、ジョン・ハートの他の小説を読むかどうかは悩むところだなぁ。

川は静かに流れ (ハヤカワ・ミステリ文庫)

川は静かに流れ (ハヤカワ・ミステリ文庫)