不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

何よりも小説を書くために

 池内紀カフカの生涯』を読んだ。きめ細やかに、そして丹念に資料を検証して書かれたカフカの評伝。祖父の時代から始まっており、作家の評伝とはいえ、ちょっとした時代ノンフィクションくらい硬派でおもしろく、一気に読んでしまった。
 奇妙な小説を書く小説家の生涯は、当然奇妙だ。手紙の多さは知っていたが、ここまでとはな。俺ならブチ切れるぞ。結婚、出世をそっちのけにし、睡眠や食事など健康をないがしろにしてでも書き続けたカフカ。人生を注ぐとは、まさにこれ。最後の姿は鬼気迫るものがあった。以前、カフカを読破しようと挑戦したが2冊くらいで挫折した。再挑戦をしてみよう。
 ところで、あとがきによると元本の五分の一を省き、参考文献も掲載しなかったそうだ。削ってよくなる時があると理解しつつ、ちょっと残念な気分になってしまった。

カフカの生涯 (白水Uブックス)

カフカの生涯 (白水Uブックス)