不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

背筋まっすぐガラガラ声

 立川談志一門会へ行った。ハコはよみうりホール。昼、上司に「夜ひま? 落語行かない?」と誘われたのだが、まさか談志一門会とは思わなかった。有り難し。月曜の夜とはいえ、満員。
 前座で立川談修「夢の酒」。前座の人は、やはり自分の間ができていないからか、一気に話してしまう人が多いが、談修もそうだった。若さというか青さというか。冒頭、夢の話とふった後で「『芝浜』ではないですからね」と一言付け加えたがよかった。
 続いて、立川談笑「薄型テレビ算」古典落語「壺算」の壺を薄型テレビに変えた現代版。ドドドドッと話すタイプで、なかなかおもしろい。噺の展開は「壺算」のままだけど、ひとひねりあってよかった。
 お次は立川生志「お見立て」。これは古典落語のまま。俺は志ん朝の「お見立て」しか聞いた事なくて、志ん朝の場合は板ばさみになる苦しみがおかしく見えたが、生志はもっとトボけていて、笑えた。
 談笑と生志と、枕は政治ネタだった。まぁ最近ではもっともネタにしやすいよな、と思っていたら、中入り後に登場した松元ヒロ「スタンダップコメディがオール政治ネタ。最初は「このオッサン、大丈夫か」と思ったが、いやーお見事なおもしろさ。物まねをするのだが、菅はまだ練習してなくて、鳩山が最近形になったところに辞任したと怒っていた。その前の麻生はそっくり。
 そして、トリはもちろん、立川談志。聞いた話では、体調は回復したものの足もとがおぼつかないとの事だったが、今日はスーツ姿で登場し、壇上をスタスタと歩いていた。相当、回復したんだろうな。声はガラガラ。落語ができないし、心もとなかったのか客で来るはずだった山中秀樹が急遽相方として登場。本当に急だったようで、どう進行していいのかあたふたしていた。途中で楽屋にいた志らくも参加。
 家元のフリートークとジョーク。やや聞きとりにくく、痛々しさもあったけれど、おもしろさは健在。ずっとガラガラ声だったとはいえ、時間をオーバーするくらいだから、体力は十分。なんとか落語ができるくらいにまでなるんじゃないかと期待。
 圓生襲名騒動の話から「誰か談志を継ぐんですか」と気になる話に。談志は「継がないんじゃない?」「継ぐとしたら、うーん、志の輔かなぁ。明日の朝には変わってるかもしれないけど」と言っていた。
 素人ながら、志の輔は幅と奥の広さ、談春は噺の構造・作り込み方、志らくは業の深さを継いでいて、誰かが談志になるというよりも、それぞれが談志をそれぞれの形で継いでいくように思っているが、さて、どうなるかな。誰も「面倒くさい」と継がずに一代で終わるのが(正確には一代ではないけど)いちばん立川談志っぽい。
 終了時間を30分くらいオーバーして終了。おもしろかった。満足。だけど、一度でいいから談志の落語が聞いてみたいな。