不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

休日派観劇鑑賞日記

 荻窪にあるミュージアム東京で鴎座ベケット・カフェvol.3『プレイ』を観劇。サミュエル・ベケット1964年の作品で、日本では安藤信也、高橋康成両氏の翻訳で『芝居』というタイトルで知られている。今回は岡室美奈子氏が新たに訳し、上演。演劇は野田秀樹の前作『パイパー』以来、ベケットとなると串田和美緒形拳の『ゴドーを待ちながら』以来。
 ミュージアム東京はなかなか不思議なハコで、そこにいるだけで雰囲気に飲まれた気分。ゆるやかに始まった劇は、「難解」と思われがちなベケットの作品ではなく、我々の持っているものと同じ日常性を秘めており、だからこそ根底にあるものが見え隠れした。
 壺を揺らす、冒頭三人の合唱、人格を持ったスポットライト(審査官)など、大胆な演出が普遍的なベケット作品にビビットに響いてくる。様々な見方が可能で、俺は「プレイ」は「遊び」に見えたが、中には「ディスプレイ」と解釈し、《ID(壷からでた顔)を取れば簡単に不安を吐き出せるブログやツイート(断片的な語り)は、実は誰か(光)に選ばれねば「語ることさえできない」》と分析している人がいて、なるほど、そういう見方もあるのかと感心した。
 岡室さんのアフタートークは翻訳について。「翻訳に名訳なし」と言われているように、翻訳は時代によって変わっていく。常に更新せねばならず、それが翻訳のおもしろさ。
 終わってから、駆け足で日比谷へ向かう。YOUR SONG IS GOOD B.A.N.D.T.O.U.R. TOUR FINAL at 日比谷野外大音楽堂だ。「YOUR SONG IS GOOD野音行かない?」と誘われたのだが、ツアーのファイナルとは知らなかった。新譜聞いてない、不勉強ですまんです。
 やや空席が目立つ、というかゆるゆるだ。後方は横になれるくらい。しかし、会場の盛り上がりはなかなか。自由席だが、空間に余裕がある分、みんな動き回っている。酒を飲んでいて、すでにできあがった感すらあった。
 バカでかいSEと共に6人が参上。そして始まったパーティタイム。野音クラスは初めてらしいが、そんな事は感じさせないパフォーマンス。場数を踏んでいるだけある。広い舞台なのにバンドはこじんまりと固まっていたのは慣れた環境にしたからか。一曲目から縦ノリ全開、踊れ踊れ。途中「チューニング、一休み」と本当に座ったり、ビールを買いに行ったりと一休みの時間になるライブは初めてだった。
 徹頭徹尾、勝手にヤッて、楽しく聞いて、後は踊り狂うだけ。曲を知らなくても、リズムとメロディに身を任せ。楽しい。YOUR SONG IS GOODの楽曲は、明るすぎて楽しすぎて、正直ついていけなかったのだが、ライブだと演奏しているからか、肉体性が生じ、彼らの苦悩や苦闘、これまでの歩みを感じる事ができて、そしてたどり着いた野音の楽しいライブ、なのだとはっきりわかった。
 満喫。ここまで踊れて、楽しいと純粋に思えるライブは初めてだったかもしれなし。終了後、新橋まで歩いて、その辺の沖縄料理屋でメシ。
 帰宅。シャツにアイロンかけたいが、無理。明日にする事にして、寝る。よく寝れそうだ。