不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

狂おしき薫り

 The Dead Weather JAPAN 2010へ行った。ハコはZepp Tokyo
 セカンドアルバム発売直前で、知らない新曲があったが問題なし(カバーも何曲かあった)。曲単位で聞くのではなく、どういう演奏をし、どういう展開をし、どういうグルーヴを生むのかを聞くのが、このバンドの聞き方だと思う。実際、観客は最初から最後まで静かに熱狂していた(はしゃぐバンドでもないので)。
 ボーカルのアリソン・モシャートは声量十分でパワフル、アグレッシブ、そしてクレイジーだったけど、はっきり言って演奏はメンバー全員、技術は達者ではない。にもかかわらず、奏でる音は常に蠢いていて、音と音の合わさり方は不定形。全曲ジャムセッションのようで、演奏の完成度は低いものの、未完成の奥深さとおもしろさをまざまざと体現し、根底にある図太いグルーヴがオーディエンスの身体にまとわりついてくる。
 やはり注目すべきはジャック・ホワイトだ。CDに比べてドラムの演奏はうまくはなかったが、ズパンズパンと音の鳴りは抜群で、中でもキックは轟音で響かせてくる。味があって、好みのドラム。こんな新人ドラマーがいたら、応援するだろうな(ジャックもドラマーとしては新人かもしれんが)。表情は見えなかったが、終始、楽しげにドラムを響かせ、やる方も聞く方も気持ち良かった。
 本編ラストの“Will There Be Enough Water?”でジャックがギターを手にしたら、その日一番の歓声が上がる。持った佇まいがいい。ゆっくり始まり、ツインボーカルで魅了し、ギターを鬼神の如く弾く。圧倒的な迫力で、「すげー」という単純な感想しか出てこなかった。ジャックはアンコールでも一曲ギターを持ったが、これまたすごかった。
 曲数は多くなかったが、約1時間45分、じっくりねっとりがっつりと濃密ロックを満喫できた。The RaconteursThe White Stripesもライブで聞きたい。また来てね。

set list
01.60 Feet Tall
02.Hang You From The Heavens
03.You Just Can't Win (Them cover)
04.So Far From Your Weapon
05.No Horse
06.Die By The Drop
07.Blue Blood Blues
08.Rocking Horse
09.A Child of a Few Hours Is Burning To Death (West Coast Pop Art Experimental Band cover)
10.Jawbreaker
11.Hustle & Cuss
12.New Pony (Bob Dylan cover)
13.No Hassle Night
14.Will There Be Enough Water?


en.
01.Forever My Queen (Pentagram cover)
02.I Cut Like a Buffalo
03.I Can't Hear You
04.Treat Me Like Your Mother