不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

Love a lot

 PFFにて『愛のそよ風』を見た。クリント・イーストウッドが初めて監督のみに徹した映画。孤独な中年男とヒッピー少女の愛の物語。不動産会社に勤める中年男とヒッピーの少女という、ギャップありまくりの男女間に愛は存在しうるか、がテーマ。たぶん。違うかもしれんが。
 音楽はなんとミシェル・ルグランイーストウッドにルグランとはミスマッチかと思いきや、バッチリだった。この映画でも美しく、宝石のような音楽だった。
 監督に徹しただけあって、抑制の効いた、この時点で完成された演出だ。随所にあるユーモアも光り、後味も「そよ風」と題されるほどさわやか。特に会話のやり取りが気が利いている。全篇やさしい空気にあふれており、哀愁漂うウィリアム・ホールデンの円熟演技、キュートなケイ・レンツの笑顔としぐさで魅せてくる。犬も、いい演技していた。
 が、やっぱり俺は愛の映画は苦手だなぁ。ほほう、いいねと思うものの、内心では「勝手にやってろよ」という気持ちが抑えられないのだ。すれていると言われればそれまでだが、そこで描かれている愛は俺にはさっぱりわからん。愛ってこんなもんなのかと強く思う。これは俺の映画ではないのだ、残念ながら。
 PFFでは未見の2作を選んで見に行ったが、これではおさまらん。何とか日程をやりくりして『続・夕陽のガンマン』か『荒野のストレンジャー』を見に行こうと思う。