角田光代『ドラママチ』を読んだ。中央線、喫茶店、待つをキーワード、というか縛りにして書かれた短編集。どれも味わいがあって、よい。巧さを持つ作家は多いけど、凄みを持った作家は少ない。『対岸の彼女』以後の角田さんは、凄みがあるなぁ。怖さとも言いかえられる。
何かを待ち続ける女性たち。たぶん、「これは私だ」と思って読む人もいるだろう。この作品たちが背中を押したり、応援したりする事はない。だけど、このままじゃ駄目だよ、という説教や脅しでもない。単純に「何かしなきゃなぁ」と思わせてくれる。女でも、男でも。
なんでも動けばいいってものではないけど、待っているだけでは、何も進まない。誰かがしてくれるんじゃなくて、自分でしろ、と。
- 作者: 角田光代
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2009/06/10
- メディア: 文庫
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