映画の本が読みたくなり、ちょうど内外で黒澤明の話が出てきたので西村雄一郎『黒澤明 封印された十年』を手に取った。『赤ひげ』から『デルス・ウザーラ』までの黒澤明の10年と、著者の半世紀を織り交ぜて構成されている。
安保や連合赤軍がいる、いろんな意味で熱量があった時代。「好きな作家は黒澤明」と言えば鼻で笑われた時代。時代に翻弄されながも、好きな映画を見まくる著者。
黒澤の自殺未遂に大ショックを受けた少し後、ある映画館で隣に座ったのは、な、なんと黒澤明本人! 思い切って話しかけ、一時過ごす事に……。
いやー、このエピソードは知ってはいたが、こうしてちゃんと読むと一映画青年の興奮と感動がガシガシ伝わってきて、読んでいる側も興奮する。幸せだろうなー。いいなー。うらやましーなー。まぁ実は晩年の黒澤明の隣の家に住んでいたんだけどさ。『七人の侍』をはじめて見て、大興奮した次の次の日くらいに亡くなった。
ところで、勝新太郎も少しだけ出てくるのだが、たった数行でも「か、かつしんだ!」と思うあたり、さすがだ。
- 作者: 西村雄一郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2007/08
- メディア: 単行本
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