少し前より、古い映画を見るモードになっている。古いというか、未見の作品だ。ハネケの作品や『ブルース・ブラザーズ』に『ゴジラ』と感動、衝撃を受けているので、やはり見ておかんといかんと思ったのだ。幸運にも地元のレンタル屋は一週間300円(隔週で190円セールもある)と割安なので、無作為に借りて見ればええんちゃう? 温故知新でええんちゃう? と俺のゴーストがささやくわけである。
今回見たのはスタンリー・キューブリック監督『非情の罠』。物語は薄っぺらで、登場人物にも魅力なし。67分と短めだが、メロドラマになったり、サスペンスになったり、アクションになったりと、不思議なバランスで構成されている妙な映画。
普通は「なんじゃこら」だが、さすがキューブリック、映像演出と編集のセンスが光りまくり。日常のシーンでの男女のシンメトリーから、ボクシングの分厚い映像、マネキン置場での格闘シーンの緊迫感、計算されまくりのカメラワーク、予算はないけどアイデアはタダだと言わんばかりにぶち込んでいる。
やや技術に走り過ぎの感はあるものの、若き監督の気合いと才気をビッシビシに感じる。鬼才の片鱗、ここにあり。
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