東野圭吾『容疑者Xの献身』読了。映画予告を見て、そういや東野圭吾は『秘密』しか読んだ事がないのに気づき、手に取ってみた。
フィリップ・マーロウのように足で稼ぐ泥臭い探偵が好きだが、実は御手洗潔のような天才(しかも変人、できれば脳の血管が一本ぶち切れている)の方が好物だったりする。*1天才物理学者vs天才数学者の本作は、かなり好みなのだ。
天才っぷりは、数学者の方はよいが、物理学者、つまり主人公・湯川学の方は切れ味悪かった。まぁシリーズのファンならば、この作品の湯川の姿に思うところがあるのかもしれないが。
巧いけどおもしろくはないなぁ、と思っていたが終盤、真相が明らかになるところで「そうきたか」と唸ってしまった。久し振りにミステリーの爽快感を味わった。やり切れないビターテイストの最後もよい。ただ、奥深さがなく、心の描写がちと浅いのが残念。ま、でもおもしろかった。
ところで、天才数学者・石神は映画では堤真一が演じるのだが、小説では《ずんぐりした体型で、顔も丸く、大きい。(中略)頭髪は短くて薄く、そのせいで五十歳近くに見える》とあり、堤真一と全然違って苦笑した。が、読み進めるとこの「醜い」外見が重要なキーになるのだが、映画はそこをどうクリアするのだろう。まさか堤真一を醜いと言い張るんじゃないだろうなぁ。
- 作者: 東野圭吾
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2008/08/05
- メディア: 文庫
- 購入: 36人 クリック: 219回
- この商品を含むブログ (684件) を見る