不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

今年の三冊

 チャンドラーは生涯ランキングでも上位で、言わずもがな。
 今年の角田さんは凄いね。どんどん作品を出すのだが、どれも質が高い。読むのは追いついても、なまじ質がいいから頭がついていかない。中でも『八日目の蝉』が抜群に凄かった。
 『1976年のアントニオ猪木』は、猪木に取材していなくて駄目という見方をする人がいた。日垣隆とか。俺もそれは考えたのだが、ノンフィクションの読み手としては駄目でも、プロレス者としてはオーケーである。メチャクチャ面白かった。新間寿とかの話を重要視していたので、それはどうかと思うけど。著者のプロレスへの視線が非常に冷たいのだが、それが逆によくさせた気もする。と同時にとても淋しくもある。
 同じプロレス本では井上義啓『殺し』が、視線も強く熱くてムチャクチャ、妄想だらけの最高の本だった。一周忌本として出版された『底なし沼』を読んでいるが、これまた凄い。吉田豪ターザン山本!のトークショーにゲスト参加した回をテキストにした章があるのだが、あのターザンの妄想がちっちゃく見える。惜しい人を亡くしたものだ。
 文庫では辻原登『遊動亭円木』矢作俊彦『ららら科學の子』に出会えたのが嬉しい。
 漫画は吉田秋生『海街diary1 蝉時雨のやむ頃』がよくて、続きが気になる。あまり新しい作品と出会わなかった一年。
 そういえば『週刊ゴング』廃刊は今年だったんだ。復活したみたいだが、あれはショックだったなぁ。