不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

眉毛だけ黒い

 NHK「プロフェッショナル 宮崎駿スペシャル」を見る。この番組は初めて見たが、「プロジェクトX」からドラマチックな部分をひいた感じですね。茂木健一郎が司会らしいのだが、いるのかあれ?
 新作『崖の上のポニョ』を作り出す、一番初めの頃に密着したもの。
 宮崎駿は作品から優しい、ヒューマニストのおじさんに見られがちだが(そうでもない?)、相当“意地の悪い”“クセのある”人間で、俺は彼を“澄んだニヒリスト”だと思っている。番組を見て、やっぱりそう思った。
 そして、そんなニヒリストが「世界を肯定する」作品を作るから面白い。《理想を失わない現実主義者でいないといけない》と言っていた。だから、宮崎駿作品に人は魅かれるのかもしれない。
 映画作りに対する姿勢も面白かった。息子、宮崎吾郎の『ゲド戦記』を見て《気持ちで映画を作ってはいけない》《この一本で世の中を変えるつもりでやんなきゃいけない》と言っていたのは、正直な感想であると同時に自分を追い込むために言っているのかもしれない。実際に、宮崎駿は本格的な映画作りの前に一人になって自分を追い込む。表情は厳しいものになり、明らかに不機嫌になる。《不機嫌でいたい人間なんですよ》というセリフがグッとくる。番組では、その過程がはっきりと見て取れて、ちょっと“ぞくぞく”した。

 きれいなんですよ、世界は相変わらず。

 持っている宮崎駿の本、再読しようかな。