不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

必殺技がトスバッティング

 映画を見て、一緒に見た後輩と茶でも飲みながら語らい、帰ってメシを食べてK-1でも見るか、と考えていたが、それはできなくなった。「全てを無し」にするため、俺の足は歌舞伎町に向かっていた。
 映画の混乱は映画で消す。『劇場版 龍が如くを見に行ったのだ。

 わかっている。あんな濃い最高のゲームの映画化がうまくいくはずがない。いくらSPEED主演の『アンドロメディア』から哀川翔主演のVシネまで監督した三池崇史でも無理だって事くらいわかっていた。でも、だからこそ……!
 で、見た感想ですけど、言いたい事は山の如くありますよ。ええ。
 サイドストーリーは適当で、複数の物語が並行する映画だとラストに収束されるものだが、完全に投げっぱなし。構造や骨組みなんか知った事かと言わんばかり。まとめるんじゃなくて、ワンシーンが撮りたいから作った、みたいな。それはそれで嫌いじゃないけど。
 メインストーリーはゲームのストーリーを忠実に再現しようとして、失敗。時間も濃度も足らなさ過ぎる。仕方ない事だけど。それにしたって風間のおやっさんとか重要人物の軽い事。大体、メインのメイン、一馬、錦、由美、遥、そしてもう一人*1の五角関係の希薄さったらない。ゲームやってないとわけわかんないし、やってればあまりの薄さに怒り心頭かもしれない。
 俳優陣は前評判通り岸谷五朗演じる真島の兄さんが良かった。オリジナルは超えないけど、ここまでイッチャった役もそうないわ。笑ったなぁ。桐生一馬役の北村一輝は悪くないけど、存在感がなさ過ぎ。本当に主人公か? ゲーム内でも生真面目なのでキャラは薄いが。あとは映画オリジナルの荒川良々の超Mの情報屋が良かった。
 書き始めたら止まらない。でもね、メチャクチャ笑った。面白かった、と胸張って言えるね。口にするのは悪口だけど顔には満面の笑みが浮かんでいる。冒頭の30分は最高の気分だった。これで金払った価値はあった気がする。「ゲーム内のアイテム」の使いどころも凄まじくて、思わずニヤリどころか爆笑した。そういう意味では本当に「ゲーム」の「映画化」だった。
 帰りがけ、当然、歌舞伎町を通って帰るわけだが、さっきまで映画の中も歌舞伎町だった。妙な気分で人ごみを歩いた。『叫』の混乱は消えていた。

*1:一応、ネタバレなんで伏せる。