関川夏央『戦中派天才老人・山田風太郎』読了。関川夏央が山田風太郎にインタビューをしているわけだが、ただインタビューをまとめたものではないらしい。「はじめに」など事あるごとに書かれているのは「このままでは到底、原稿にはならないので、相当“編集”した」という事。それでも「山田風太郎が言わなかった事や書かなかった事は全く含まれていない」。つまり関川夏央の描く「山田風太郎」という「物語」という事だ。
お互い(そのつもりでなくても)挑発し合っていて、妙な緊張感がある。山田風太郎の言い回しや言葉の使い方がいい。「江戸川乱歩はハゲが創作の原動力」という説には笑ったが説得力もあった。後半に出てくる『文藝春秋』(1994年10月号)に掲載された「戦中派の考える“侵略発言”」は、抜粋部分だけでも賛成であり、面白い。是非とも、図書館かどこかで全文を読みたい。
――老いは悲しいですか?
「全然悲しいことではないよ。あいかわらず横着で気楽、平然と老いている」
「戦中派日記」シリーズは途中で止まっているし、著作もそれほど読んでいない。近いうちに読むのを再開しよう。
何の気も無しに古本屋で買ったのだが、メチャクチャ面白かった。こういうインタビュー本ではピカイチだな。
- 作者: 関川夏央
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1998/12
- メディア: 文庫
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