不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

それでも三沢は立っていた

 NOAH鑑賞。三沢光晴vs丸藤正道ですからね、録画したさ、そりゃ。
 冒頭に小橋建太が半年振りに登場。気持ちほっそりしていたが顔色はよさげ。焦らずやって欲しい。小橋コールと言葉に涙ぐんだ俺。最近、涙腺緩い。
 で、試合なんですが、ビックリしたのは解説が仁志て。一瞬、あの仁志なのかどうか考えてしまった。横浜に移籍したからか、と思ったが横浜はTBSか。日テレって巨人じゃん。元いたとこじゃん。どういうことなの。


 印象に残ったのは、試合前も試合後も、追い詰められていたのは三沢だった事だ。時代が動いている事は、少し前から明らかだった。武道館が三沢コールに包まれたのは、世代交代への拒否反応か、追い詰められた方を応援したくなったのか。前に《負ける姿が思い浮かばない》と書いたけど、日に日に、そのイメージは具現化していった。ここまで「三沢が負ける」と思ったのは初めてだった。それほど丸藤を初めとした新世代が力をつけてきたのだ。
 丸藤が雪崩式タイガースープレックス'85、変形式エメラルドフロウジョンを返した時点で、「三沢は負ける」と確信してしまった。三沢がタイガーマスクを自らの手で取った瞬間、プロレスに目覚めた俺としては、三沢が“終わる”姿を見たくなかった。三沢が鶴田に勝った様に、その瞬間が来ると理解していても嫌だった。丸藤が勝ったら勝ったで嬉しいんだけど。
 そう思っていたら、雪崩式エメラルドフロウジョンというトンデモナイ技を出し、三沢が勝ちやがった。すげぇ。はっきり言って、三沢は無様だった。だけど死ぬほどカッコよかったし、強かった。その強さは最後の灯火なのかもしれない。だけど、勝った。嗚呼。
 長谷川博一『チャンピオン―三沢光晴外伝』という本を思い出した。帯にこう書いてある。
《俺を見ろ、と三沢は言った》
 三沢はそんな事は決して言わない。今回も言わなかった。だけど三沢はそう言った気がした。俺の妄想だったんだろう。
 丸藤は負けたけど、問題なし。価値は少しも落ちていない。むしろ貫禄すら見えた。エース、になる予感がする。だけど、まだ、もう少し、足りない。三沢の言葉を借りれば、《サムシングがない》のかも。彼の試合は確かに驚くけど、それ以外の感情的な何かだ。それはおいおい身につく事だと思うから、焦らず頑張って欲しい。次は森嶋で決定なんだろう。16年前に三沢が破った“あの男”の遺伝子を受け継いだ選手。どういう試合になるんだろう。
 それにしても、時間を越えてこういう思いを抱くっつうからプロレスっていいよなぁ。

チャンピオン―三沢光晴外伝

チャンピオン―三沢光晴外伝