不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

良き二冊

 星野博美『のりたまと煙突』読了。
 エッセイなんだけど、ただのエッセイじゃない。一つ一つの話が面白くて、日本の現状とか、批評もしていて、しかも自分の足元も見ていて、とてもリアル。著者は寡作なのだが、そりゃこれを書くのには時間がかかるだろうな。その辺のエッセイ書いている人(誰だよ)とはちょっとレベルが違う気がする。この人がこれからどういう作品を書いていくのか、凄く気になる。「ホテル・カリフォルニア」という話が印象に残っている。

のりたまと煙突

のりたまと煙突

 森見登美彦夜は短し歩けよ乙女も読了。
 大森望が帯に《大傑作。文句なしに今年の恋愛小説ナンバーワン》と書いているので、恋愛小説が苦手な俺は一瞬たじろいだが、《大傑作》とまで言うのならと読んだ。「大傑作」とは言わないけど、とてもいい。
 奇々怪々な事件ばかり起こる。主人公の女の子はそういうのを受け入れるキャラなのだが、男の方が受け入れない。だけど、起こってしまっているのだからそれに巻き込まれていく様が、物凄く面白い。現実主義みたいな書き方をしているのに、書いている事はへんてこりん。そのギャップに笑ってしまう。文章も独特で良かった。読後はふわっと幸せな気分になった。久し振りに面白い小説だった。
夜は短し歩けよ乙女

夜は短し歩けよ乙女