星野博美『のりたまと煙突』読了。
エッセイなんだけど、ただのエッセイじゃない。一つ一つの話が面白くて、日本の現状とか、批評もしていて、しかも自分の足元も見ていて、とてもリアル。著者は寡作なのだが、そりゃこれを書くのには時間がかかるだろうな。その辺のエッセイ書いている人(誰だよ)とはちょっとレベルが違う気がする。この人がこれからどういう作品を書いていくのか、凄く気になる。「ホテル・カリフォルニア」という話が印象に残っている。

- 作者: 星野博美
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2006/05
- メディア: 単行本
- クリック: 10回
- この商品を含むブログ (32件) を見る
大森望が帯に《大傑作。文句なしに今年の恋愛小説ナンバーワン》と書いているので、恋愛小説が苦手な俺は一瞬たじろいだが、《大傑作》とまで言うのならと読んだ。「大傑作」とは言わないけど、とてもいい。
奇々怪々な事件ばかり起こる。主人公の女の子はそういうのを受け入れるキャラなのだが、男の方が受け入れない。だけど、起こってしまっているのだからそれに巻き込まれていく様が、物凄く面白い。現実主義みたいな書き方をしているのに、書いている事はへんてこりん。そのギャップに笑ってしまう。文章も独特で良かった。読後はふわっと幸せな気分になった。久し振りに面白い小説だった。

- 作者: 森見登美彦
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2006/11/29
- メディア: 単行本
- 購入: 40人 クリック: 2,165回
- この商品を含むブログ (981件) を見る