不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

読書

ちゃんと映画公開記念特製小冊子付きを買っていた

先日発売されたよしながふみ『きのう何食べた?』の20巻、発売日に本屋で買ってきて、さて既刊本と揃えておこうとしたところで、19巻がない事に気づいた。漫画は基本的に電子書籍で買うようになったのだが(巻数が多いので対処しきれないので)(かといって…

ジェイン・ハーパー『渇きと偽り』/流れた水はもどらない

映画を見た後で原作小説を読んで、真犯人はわかっているからおもしろさ半減かと思いきや、そこへの布石がそこはかと置かれている事がわかって、これはまた違った読み方になっておもしろかった。もちろん原作小説の方が細かく風景も感情も描写されているのだ…

『絶版本』/この本が絶版になりませんように

「あなたがいまこそ語りたい『絶版本』なんですか?」という企画の、柏書房が運営するnoteの連載に書き下ろしを加えた一冊である。ちょうど早川書房周辺での絶版本をめぐる炎上事案があった際に存在を知ったがその時は読まず、このたび書籍化されて一気に読…

原作小説は読むけどノベライズは読まない

近々公開される映画の予告を見たらなかなかおもしろそうで見に行くつもりになったのだが、そもそも原作小説の評価が高いらしく、調べてみたら翻訳本がちゃんと出ていたので、本屋に行ってあったあったと見つけてレジに持っていこうとしたところではたと思っ…

ポール・ベンジャミン『スクイズ・プレー』/これが彼を見た最後の作品だった

誰あろうポール・オースターの変名による正調ハードボイルド小説で、オースターの幻のデビュー作だという。オースターが違う名前でハードボイルド小説を書いていたなんて全く知らなかったが、もっともそれ以外のオースターの事もそれほど知っているわけでは…

マイクル・コナリー『潔白の法則』/勝者のようにふるまえば

ハリー・ボッシュやその他の作品はあまり読んでいないが、「リンカーン弁護士」シリーズだけは読んでいます、原作は七年ぶり、翻訳では五年ぶりの新作は、容疑者はミック・ハラー、弁護人もミック・ハラー、殺人事件で己を弁護する本人訴訟。獄中からの弁護…

『ザ・シェフ新章』を読んだ

Kindle Unlimitedに入っていたので、『ザ ・シェフ新章』を読んだ。そもそもの『ザ ・シェフ』30巻分を読んだのは三年近く前で、その事は日記に書いた。 『ザ・シェフ』を読んだ - 不発連合式バックドロップ 新章ねえと思いながら読み始めたが、予想通り弟子…

いしいひさいちの新たな傑作

いしいひさいち『ののちゃん』の新刊13巻が出る事は知っていたが、忙しさに襲われていたら買うのをすっかり忘れてしまった。漫画は九割くらい電子書籍で買うようになったので、毎日本屋に行くわりには漫画売り場に行かずに店頭に出ていても気づかず、七月か…

積んである本をいくつか読んだら買おうかな

後輩が厚い本を持っていて、何かと思えばカート・ヴォネガットの『読者に憐れみを』で、欲しいなと思っていた本だったから、ヴォネガット好きなのかと聞いたら、初めて読むという。いきなり最初にそんな厚い創作論的回想録に手を出すのかと驚いたが、何から…

味のプロレス/俺たちのプロレス

アカツキ『味のプロレス オールスター編2』(新紀元社)が出ていたので買う。『闘魂編』『王道編』『オールスター編』と続いた名前の第四弾はあるのかと思っていたら、『オールスター編2』で潔い。すっかりプロレスから遠く離れてしまったが(遠くからは眺め…

榎本空『それで君の声はどこにあるんだ?』/言葉を探して声にする

マンハッタンのユニオン神学校で「黒人神学」の提唱者ジェイムズ・H・コーンから黒人神学を学んだ日々を綴ったエッセイ集。若書きといっていい拙さもありながら、いや、であるからこそ信仰、祈り、寄る辺についての言葉がダイレクトに響いて、再読必至の一冊…

本を買う

忙しさは続く中、自分の一日の目標は着実にクリアしている。せめて明日が楽しみになるような事をしたいなと思い、自分へのご褒美もかねて、欲しかった新刊本を思い切って買う。思い切ったのは、何せ二冊だけなのに一万円を超えるという値段からだ。計算して…

青山真治『宝ヶ池の沈まぬ亀』/それでも人生と映画は

映画監督 青山真治さん死去 「EUREKA」がカンヌ映画祭で受賞 | NHK | おくやみ 先日読み終えた、とても分厚い日記。二段組でたっぷりと書かれているんだけど、核心的な事はやたらとぼかして書かれていて、日記は書きたい事ではなく書き残したい事を書くもの…

読みたいけど読めない

昨年から小説が読めない、読んでいないわけではないが数が激減した。何が原因かはようわからない、興味はある、買ってもいる、読み出してもいる、しかし読み進まない、そして本を閉じてしまう。現実が非日常になって物語を求めていない、わけではない、だっ…

本が揺れ続けている

あの頃、ジェイムズ・エルロイのいわゆる「暗黒のL.A.」四部作を読もうと思っていて、持っていなかった『ビッグ・ノーウェア』をAmazonで注文していた。それが届くか届かないかと待ちわびている日だった、揺れたのは。だからいつも今日という日を思い出すと…

中川右介『国家と音楽家』/国家は政府ではない

出す側はこういう事態になる事を想定していなかったであろうし、私も買って読み始めた時にこれほど現在にフィットしようとは思っていなかった、奇しくもベストタイミングの文庫化になってしまった読み応え十分な一冊。ナチス・ドイツ周辺と、共産国家ソ連の…

誰かの付箋から

写真も載せたが先日の本屋めぐりで吉増剛造の詩集を買った、現代詩文庫シリーズの一冊。短歌はまだしも詩はいまだに読み方がわからない、読み方本などを含めていろいろ読んでいるがまだ感触が全くない。されど開いたページに、引かれる言葉や一説があれば買…

かく語りき

図書館に行って、返して借りて帰る時に入り口付近にある「リサイクル本」コーナーをチラ見したら、光文社古典新訳文庫と思しき装丁があったので立ち止まって手に取ったら、ニーチェの『ツァラトゥストラ』だった。「水濡れあり」とのシールがあり、そのせい…

詩の本二冊

「詩」というもの/谷川俊太郎|「新潮」編集部|note 私にとって谷川俊太郎は『PEANUTS』の翻訳者がまず来てその次に詩人で、それでもその平仮名の詩がいまいち苦手だったのでそれほど読んだ事はなかったのだが、上記の記事を読んでこれはちょっとすごいな…

無理をしない読書

昨年末から読書熱がぼちぼちと戻ってきている、最近心掛けているのは無理をしない事だ。無理というのは「出だしがあまりおもしろくないな」とか「ちょっと読み通せそうにないな」とか「おもしろいけど、いま読むのはしんどいな」とかいった時に、これまでは…

二月五日、賢太

カミさんは自転車で動物病院へ行き、その間に私は図書館を往復。昨年とは打って変わった読書熱、とはいえ、勢いづくとすぐに萎むから気合を入れずに、赴くがままに読む。カミさんが戻ってきて一休みしたら、再び外出。モスバーガーで昼を喰って、本屋など寄…

都築政昭『「小津安二郎日記」を読む』/朝風呂、昼寝、酒

小津安二郎が日記をつけていた事は知っていたが読んだ事はなくて、ふと本書の存在を知ってこちらを読んでみた。日記からたどる小津の人生と作品で、ピシッとまとまっていた。引用されている日記を読む限り、これは別途読む事はないかなとも思った。朝風呂、…

四方田犬彦『ラブレーの子供たち』/食べ物は思い出

『詩の約束』を読んだ流れで四方田犬彦本を何冊か読んでいる、その一冊。世界中の芸術家が遺したレシピ、言及した料理を、その背景を説明しながら再現するという、なかなか大胆な連載をまとめたもの。食材は当然ながら撮影にも力を入れていて、『芸術新潮』…

詩を読み出す

一昨年末から歌集を何冊か買っていて、時折り開いては数首読んで閉じてそのうちまた開く、といった読み方をしていて、そこからちょっとした理由もあって、詩にも手を出し始めた。だがこれまで詩は散文に引用されている一説などを読んでその強さを感じていた…

年末年始に読んだ人物ノンフィクション

小佐野景浩『至高の三冠王者 三沢光晴』(ワニブックス)。三沢の一生を描いた評伝ではなく、1998年5月1日の全日本初のドーム大会の対川田利明戦までしかなく、それはタイトルにある通り三冠王者としての三沢光晴の姿と四天王プロレスを描こうとしたわけであ…

本は一期一会

古本屋で出会ったら買おうと思っている本がいくつかある。あまり見かける事はなく、かといって希少本というわけでもなく「日本の古本屋」やAmazonなどで検索するとそれほど高くない値段で見つかるような本。古本屋に行くたびにありそうな棚を見ては、ないか…

サイン本

先日買った本がサイン本だった。サイン本は何冊か持っているがどれもサイン本だから買ったのではなく、買ったらサイン本だったものばかりだ。自分から本にサインをしてもらったのは記憶にあるだけで三回ほどだ。初めては下北沢に三省堂書店ができて、そこで…

橋本倫史『東京の古本屋』/古本屋での日記

web連載時からおもしろく読んでいたが、こうして一冊になってから改めて読んでみると、これは名著ではないかと思う。ここにあるのは東京の古本屋の普段の姿であり、コロナ禍での個人商店の苦悩と葛藤であり、古本屋の歴史であり、個人の記憶だ。この個人とは…

増殖する本

俺はそこそこ読書好きで、カミさんはめっちゃ読者家で、お互い本の数はそれなりに持っていたが一緒に住んだら欲しい本が重なる事もあるから減るかもねと話していたのだが、趣味が全く違うし、紙の本が好きだし、自分が買う罪悪感を消したいのか相手が買うか…

九月一六日、孤狼の五平餅戦

目当ての店が休みだったので、せっかくだから景気良くしようとランチ焼肉に突撃。食後、映画館へ行き、『孤狼の血 LEVEL2』を見る。年末年始に「仁義」シリーズや『県警対組織暴力』を見てしまっていたのが悪かったか、名作と比較するのもいけないが濃度が違…