不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

一方、カミさんは夏が好き

 ご存じのようにもう暑くなってきている、六月の段階で三十度を越す事はないだろう、季節の繋ぎが雑どころか舵の切り方が急すぎて事故多発レベルである。昨年は喘息となってひどいひと夏を過ごしたわけだが、よくよく思い返すとよい夏を過ごした記憶はもうずいぶんとない。イタリアや台湾など旅行の思い出はあれど、季節としては苦手だ。とにかく夏は体調を崩すと思っていた方がいいのだが、思っていても崩すから困る。そうでなくとも今年の夏は久々に実家に行かねばならず、そこで心身共に崩れそうな予感がしている。たまにはいい夏だったと思いたい、そのためにはやはり海に行くしかないだろうか。いつも海へ行くつもりだったのに。

ズレ

 一人になりたいなと思う事が増えていて、たまたま今日は会社でも自宅でも一人の時間ができたのでよかったのだけれど、なったからといって何かしたいわけではなく、一人でぼんやりしているだけだった。家で風呂の水を抜いている間、出入り口に座り込んでただ水が流れていく音を聞いていて、いつの間にか静かになっていた。大人数で歩くのが苦手で、いつも外れてしまう、歩くのが早いので一人先を歩いていく。中学の時、部活帰りでみなと歩いていたのにいつの間にか先に行っていて「また龍が先にいってるよ」と後ろで話しているのを聞いてハッと気付く事が多かった。たまたま歩くのが早かったから先に行くだけで、遅かったら後ろにいただろう、全く違う方向に独特の歩幅で歩けるならそれでいいけどそういうわけでもない、少しだけズレている、いまは自分が自分にズレている気がしている。

アリがナシに

 台所の蛇口から水漏れするようになったので修理を依頼。蛇口丸ごとの交換になって、前はレバーを上から下に下げたら水が出る仕様だったのが、今度は下から上にあげる仕様に変わっていて、ぺチッと軽く叩くようにして出していたのがそれをやるとゴッという音が鳴るだけで、それで早く壊してしまいそうだがその前に慣れるだろうか。外の水道管付近に蟻の巣があるらしく、一時期伝って蛇口付近の隙間から中に入ってきた事があった。その時はマスキングテープで対応した事を伝えると、隙間をパテで埋めてくれた。これでもう入ってくる事はないなと安心していたら、さらに昨日書いた白蟻駆除業者が「ついでにやっておきました」と巣の駆除をしてくれたらしい。確かに外でも蟻をあまり見かけなくなった。正直、家の中にさえ入ってこなければ別に構わないのになと思ったけれど、巣があればあればで何かしら弊害があるかもしれないから、やってもらってよかったのだろう。だろうけど、えっちらおっちら大きな餌を運んでいる姿を何度も見た事があったので、寂しくなったのもまた事実なのであった。どちらも人間のエゴなのだろうな。

風景

 台所に床下収納があるけど使わずその上に食器棚を置いているが、大家からその部分から床下の白蟻検査及び予防薬を撒きたいと連絡があったのは一年以上前であった。その時はこのような状況下で他人を家にあげるのは如何なものかという声が出たそうで延期になったのだけれど、そのまますっかり忘れていた今年、改めて行う通知が来た。何とか逃れたかったがそれもできず、そうすると食器棚を収納部分からずらさねばならない、そのために棚を空にして棚の周りのものも片付けねばならない、途方に暮れた。しかもちょうど私が忙しく疲れている時期だったのでカミさんに全てを託してしまった、すまぬ、感謝。一週間ほど前に全ての作業は無事に終了したのだが現状回復はいまなお全く進んでおらず、中途半端に進めた引越し作業現場のようである。とても人を招けないが前の状態でも招けないのでその点は変わりなく、座って食事をしてだらっとできる空間は何とか確保してあるので、まぁこのままでもいいかなという気になってくるがいいわけはない、乱雑な模様も気づいたらいつもの風景として見慣れてしまうから危険だ、今週末には何とかしたい。

六月二〇日、スパイ容疑

 検索したらタイミングのいい上映時間を見つけたので映画チケットを予約。昼飯を喰ってから、『オフィサー・アンド・スパイ』を見る。ドレフュス事件を扱った作品で、と書いておきながら事件を詳しく知っているわけではないのだがともあれ、サササッと上辺だけを描くタメも躊躇いもない流麗な筆遣いに感心しながら見ていくうちに事件が立体的になる手腕はお見事。わからない人は置いていく冷淡さも感じた、何で決闘していたのだろう。ただそのぶん深みもなくて、見終わった後は特に語るものもなかったりする。正義というより己(や属する組織)の確固たる信念や思想、それに基づく姿勢が寄る辺になったり、人に優しくも冷たくもなる。映画から感情を排したのはそれを見せるのが狙いか。にしても、まさか冤罪のドレフュスに自分を投影していないだろうな、ポランスキー……。帰宅。茶を飲んでぼんやり。夕飯を喰って夜の散歩、Tが近くまで来たからと小一時間ほど立ち話。

六月一九日、数日前から冷房を起動しています

 今シーズン初の半袖Tシャツ。まずは一票を投じてから駅前に出て、サンマルクカフェで軽く昼飯をとりつつ読書。某駅前のサンマルクは広いけど空いていて居心地がよいのだが、空いているから心配にもなる、長く続いてほしい。古本屋、スーパーを回りながら帰宅。先日から見始めたNetflix『アイアン・シェフ』を2エピソード見る、『料理の鉄人』を毎週見ていたのを思い出す、あれより派手だがおもしろい。夕飯はラム肉カレー、やはりラムだな。コーヒーを飲みながら『鎌倉殿の13人』、野心と権力と疲れる心。風呂が入るまで散歩、夜も暑くなってきた。

六月一八日、珈琲、牛乳

 十時頃起きる、よく寝ている。ちょうど珈琲豆が切れたので下北沢に買いに行く。蕎麦屋で昼飯。豆を焙煎している間はいつものように別の珈琲屋で一杯なのだが、よく行く店がどこも満席だったので初めての店へ、なかなか当たり。古本屋で一冊買って、豆をピックアップしてから吉祥寺へ。先日できたばかりという「武蔵野デーリー CRAFT MILK STAND」へ。牛乳好きとしてはチェックしておきたかった。まずは牛乳三種飲み比べを試すと、全部はっきり味が違っていて全部うまい、うまいな牛乳、感激するレベル。これはまた来たい。次はミルクコーヒーでもいいな。またもや古本屋で一冊買ってから帰宅。夕飯はさっぱり麺ぽんうどん、食後にさくらんぼ。Netflixで途中で止まっていた『ザ・インタープリター』を見終える、国連が舞台で現在の機能不全状態からすると牧歌的にすら見えたりもした。