不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

ある引退表明

 吉田沙保里が引退を表明した。俺は知らないがJリーガーの誰かも引退するそうだ。引退ではないが球界では誰かがどっかに行くとかで話題になっていた。西野カナの活動休止はまぁどうでもいい。そんな話がいくつか流れる中で俺を掴んで離さなかったのは、もちろん新日本プロレス飯塚高史の引退だ。飯塚の事はかつて書いた事がある、天山広吉との友情タッグの時だから十年ほど前だ。あのタッグはもう少し長引かせて、小島聡を加えた三角関係にしていろいろもつれさせたらおもしろかったのに、ああも早く展開させたのは残念でならない。

 飯塚は地味な選手だ、という事は前にも書いたはずだ。花が咲いたのは、村上和成との死闘からの数年だろう。2000年のG1では台風の目だった、特に永田裕志とは名勝負だったし、その永田とのタッグでG1タッグリーグで優勝し、リーグ中は拒み続けた敬礼ボーズを最後の最後に一緒にやった時は、俺は嬉しかった。確か武藤敬司ともシングルで戦った。あの華でしかないレスラーと、石みたいな地味なレスラーとの一騎打ちに胸躍らせた人がどれくらいいただろう、俺はその一人だ。

 だがその後の長期離脱、復帰後さほどパッとしない中でまた一花と思った天山とのあれこれは上の通りで、そしてあのヒール転向。ヒールになるのは構わないが、何もあんなキャラでなくてもいいではないかと誰もが思ったのではないか。見ていると痛々しいような、いやしかしどこか楽しそうでもあるような、複雑な気分になる、本人はどう思っているのか、聞いてみたい。

 この後どうするんだろうと思っていたがいつの間にか10年も経っていた。飯塚は相変わらずウガーと言いながら暴れまわり、よくやられている。これはこれでプロレスラーだ、よくぞ10年もやり続けているものだ。そういう意味で言えば、この人はずっと、地味で、不器用なプロレスラーのままなのだ。

 調べてみたら52歳。理由は現時点ではまだ不明だ。身体のどこかが不調なのかもしれない、いい加減やめたくなったのかもしれない、いろいろあるだろう。だから引退するその意思は尊重する、寂しいけれど。

 俺が気になっているのは、2.21に行われる引退興行だ。セレモニーや挨拶があるであろう、その場で飯塚は一体どうふるまうのだろう。この10年やってきた通り、暴れ回るのか。それとも素顔の、まぁ本人はいまの悪役が素顔だと言い張っているが、飯塚としてレスラー人生を終えるのか。ヒールとして器用でもないので、暴れまわってもどっちらけになりそうだし、素顔で感謝の言葉を言われても(その思いが嘘でないにしても)ちょっと苦笑してしまいそうだ。

 まぁしかし、どっちを選んでも、これが飯塚だなーと思うのは確かだろう。そうやってその人の人生が現れる、これこそがプロレスなのだ。