不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

日銀日記――五年間のデフレとの闘い/日銀副総裁の日記です

 頭がついていかぬだろうと思いつつも日記だからと読んでみた、岩田規久男『日銀日記――五年間のデフレとの闘い』(筑摩書房。日銀副総裁に就任していた五年間の日記で、内容を約めてしまえば「経済音痴の政治家(主に民主党)と誤解曲解するマスコミ、マジふざけんな」と「アベノミクスはいいのに消費増税マジやめろ」の二つをその都度書いている。まぁ正直言えば、経済分析については俺はふむふむと何となく読める程度の頭だが、数字からの分析は説得力はあった。反論があるのかもしれないが。最後に短めながら消費税10%引き上げへの対応案もあり。
 重ねて言うが、これが(名前を出して悪いが)東洋経済日経新聞出版社から出たアベノミクス分析本あるいは回想録だったら絶対に手に取らず、何せあの筑摩書房から出た日記だから読んだ(読めた)のだと思う。たとえば「志木に自宅があるのに、通勤が大変だから勝鬨のマンション借りた、負担が大きい」とか、「帝国ホテルの朝食会だったので立派な和食を期待していたのにサンドウィッチでがっかり」とかにじみ出る生活臭がいい。「今日は私の誕生日だが妻はハワイに行っていて帰ってくるのは夜の十時。それはともかく、現在、金融政策は『量的・質的金融緩和』を開始して以来云々」と話題転換が唐突な時もあって思わず笑う。経済本なのにこういう箇所があちこちにあるのが日記である事のおもしろさ。
 それにしても、「経済的にはどう考えても消費増税は悪影響を与える」けれど「政治的に止められない」という状況がわからん。いや政治的に止めろよ。「駄目だこれは」って言えばええやんけ。財務省の圧力とは、一体どんなものだろう。正確な数字を挙げないとか、言われた事をやらないとか? それこそ大問題だが。