不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

おかしくて哀しい

 日本のでも海外のでもあまりドラマを見る事がないんだけど(途中で飽きてしまうか、DVDをレンタルするのが億劫になる)、Netflixにもドラマは結構入っていて、どれか見てみようと思っていたところ、『FARGO/ファーゴ』があった。コーエン兄弟の作品から着想を得ただけで、直接の関係はないという。しかし見てみると「人間はおかしくて哀しい」というテーマが共通している。シーズン1はマーティン・フリードマンビリー・ボブ・ソーントンが主演で、ソーントン演じるローン・マルヴォがアントン・シガーのようであった。シーズン2も見て、1は死の天使が多くの人の人生をかき乱していくわけだが、2では善人も悪人も誰も彼もが「何でこんなことになってしまったのだろう」という呆然とした思いを抱えている。そして「思いもよらぬ事が人生には起きる」と。これもまた映画『ファーゴ』に通じていた。
 このドラマの全脚本を書いているノア・ホーリーが書いたという『晩夏の墜落』(早川書房、川福智子訳)も、ドラマ版を見たタイミングで出ていたので読んでみた。ちなみにポケミス版。まさに形を変えた『ファーゴ』のような、一つの大きな事件に巻き込まれた人間模様を描いており、抜群におもしろい。「何でこうなっちゃったんだろう」という人のぼやき。主役はもちろんいるけれど、他の人物もきちんと「そこにいる/いた」人として書き込まれているのがいい。ラストはわりとプツッと切って余韻を残す。映画化も決まっているそうな。脚本は本人。これは楽しみ。
 さて、ユアン・マクレガー一人二役の主演をつとめているという、ドラマ版のシーズン3はいつNetrflixに来るんでしょうかね。待ってますよ。

晩夏の墜落 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

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