不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

マンチェスター・バイ・ザ・シー/人が海に戻ろうと流すのが涙なら


 皆が許して罪を問わないけれど、俺だけは俺を許さず罰を与えよう。そうでしか俺は俺を許せない。あの殺風景な部屋は独房に他ならない。そうして擬似親子が補完しあって支え合うというよりも、どうやって俺達は日常や生活に戻っていけるのだろうと血の轍を共に歩いて模索する喪の仕事。だが、片や前途ある若者で充実した私生活や未来など何もかもが光に満ちている一方で、暗闇の中でそれを眩しそうに見るしかない過去から抜け出せない男は、「乗り越えられないんだ」と声に出して打ち明ける事で答えを振り絞るしかなかった。登場人物の感情や生活のフェアな描き方、雪や光や曇天模様などはすばらしかったのだが、しかしその結果少し演出がやかましく思えたかな。猫背でハスキーなケイシー・アフレックは前評判通り好演。