不発連合式バックドロップ

日記と余談です。

映画の奴隷となって

 NHK「プロフェッショナル 宮崎駿のすべて〜「ポニョ」密着300日〜」を見る。前にやったやつの続き。ナレーションが不要な事ばかり言ってうざったいし、茂木健一郎と横の女のインタビューはへったくそでイライラするが、それ以外のところ(つまり宮崎駿の言葉と作業姿)は凄くおもしろかった。
 《映画の奴隷になっている》という言葉は、かつて蓮見重彦北野武について「映画を愛した監督は多いが、映画に愛された監督は少ない」と言っていた事と繋がっている。映画に愛され、映画の奴隷にならなければ、傑作は生まれない。
 その北野武が「TVタックル」で、自身の『アキレスと亀』、押井守スカイ・クロラ』、そして『崖の上のポニョ』がベネチア国際映画祭コンペティション部門にノミネートされた事について、「映画とアニメが一緒の部類なのはおかしいんじゃないか?」と言っていた。アニメーションをそんな風に見ていたのか、と意外だったが、こうやって創作作業を見ていると、確かに違うのかもしれないと思った。と同時に、いや作品を見るのなら、一緒だろうとも。結局のところはわからん。
 宮崎駿は「人に楽しんでもらいたい。楽しんでもらえれば、自分の存在が許される」と語っていたが、実はそれって北野武、つまりお笑い芸人であるビートたけしと共通している意識じゃなかろうか。
 創作姿勢が真剣で、凄まじいものならいい作品、というわけではもちろんない。だけど、ここまで自分を追い込み、ギリギリのところから生み出しているものの重さは凄い。
 その他、いろいろ感じ入るものがあった。俺、この人好きなんだと再確認。
 そして、彼らを取り込んでしまう「映画」の持つ力も、少しだけ感じ取った。

 コンテは終わる。映画も終わるし、世界も終わる。

 新刊、買って読まないとな。

折り返し点―1997~2008

折り返し点―1997~2008