『ノーベル文学賞にもっとも近い作家たち』(青月社)。賞自体には興味薄だが、世界の作家には興味有りなので参考に読んでみた。もちろん知っている人もいるが、知らん人も多い。ざっと見る限り、作品の雰囲気が暗い人が賞に近いようだ。明るいとされているのはウンベルト・エーコ、ジョン・アッシュベリー、ジュノ・ディアスくらいだった。ジョイス・キャロル・オーツは『オン・ボクシング』から知ったので、そんな著名な作家だったとは知らなかったな。佐藤良明さんが、柴田元幸訳の『メイスン&ディクスン』について《日本向けには註・解説の補充が待たれる》と書いたのはこの本だったのね。『重力の虹』、いつ読み出そう……。
多和田葉子『献灯使』(講談社)。表題作は、皮肉と不条理にまみれた近未来を描く事で現在を浮き彫りにさせている。序盤はピンと来ず、中盤の家族の話から読み応えが出たが、結局は雲散した印象を受けたなぁ。発想だけが浮ついているというか……著者の切実な思いは伝わるけど。表題作もそうだが、それ以外ではよりストレートに震災後の日本を、特に原発を扱っている。ストレートだからこそ深刻なのに滑稽に読めた。その滑稽さは著者の意図したものかどうかはわからないが。うーん……あまり好きではないかな……。- 作者: 多和田葉子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2014/10/31
- メディア: 単行本
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